ごく近いある日の出来事。

 二組のお客様が立て続けに帰ちゃって、まだ、10時だと言うのに。
お店がポッカリ空いて チョイしらけ気味。


人の出具合を見に表通りへ。


呼び込みのお兄さんや、「マッサージどうですか〜?」のお姉さんは
大勢いるのに、お客さまらしき人はポツリポツリ。
こりゃ 厳しい一日になるなぁ〜 と 立っていると。


六十七、八才の酔っ払った、年配の男性が
「おまさんは 正統派の飲み屋みたいだな。」 声をかけられたヨ。


  何をもって(正統派)と 言うのだろう?・・・


「おまさん、この光景見てどう思う?
 昔の柳ヶ瀬と違いすぎないか。」 ヨロヨロしながら言うのです。
私は
「そうですねぇ〜、時代の流れですかねぇ。」当たり障りのない返事を。


「おまさん、どっかで見たことあるな。柳ヶ瀬は長いのか?」

「はい。三十七年くらいいますが。」 答える。

「おれは四十年柳ヶ瀬で遊んでるんだー!」
「おまさん古株だろ、柳ヶ瀬を昔みたいに 戻せー!!」


「・・・(黙)・・・あっ、お客様待たせてますから失礼します。」
戻ろうとすると


「おー!頼んだぞー!」と 背中に響く。


(た・頼まれたって・・・)


    ここで一句       
       長くやっても
           チカラなかりけり
                 飲み屋の親父

店に戻ると
お客様が「おれが 横通っても、気づかんのかー」と、お叱りを。    ある日の一日 おしまい