柳ヶ瀬情話 独りよがり小説・著 関長下府生

当店のお客様に、趣味で小説を書いてる方がいまして

三十数年柳ヶ瀬を飲み歩き、去年停年退職し

「小説書いたから読んで〜」と 時々持ってこられ

当人の了解を得て、ここに掲載させてもらいます。

 なお、あくまでフィクションですので、実在の個人名、会社名

団体、グループ名 等、一切関係ありません。

柳ヶ瀬情話 独りよがり小説・著 関長下府生
     ミソカツ談話

  飲み屋街の裏路地に昔風スナックがある。

屋号は「MATMAT」だ。

マスター梅林は暇そうにパソコンをいじっているのか、なじられているのか?

この男機械にかなり弱そうである。

五十の手習いと笑ってはいるが・・・。

男なら一度は興味をもつであろう、

インターネットでアダルトを見ていて、

由紀美ママにこっぴどく叱られてからは

エクセルだのワードだの頭をひねっている毎日だ。

  カラ〜ンとカウベルが鳴り、ドアがゆっくりと開き、

「相変わらず暇な店だなぁ〜」何時もの同じセリフは、

ガブリンと呼ばれている二十数年来の常連のお客さん。

どんな話にも噛み付いてくるので

こう呼ばれているらしいが、ただの話好きのおじさんだ。

某製薬会社の係長、入社時には能力に優れ頭もよく

出世間違いなしと言われてた、らしいが、

五十を迎えてもいまだ同じ椅子である。

上司にも噛みついたのか?という世間の噂に

彼はどこ吹く風である。

サントリー・オールドの水割り、由紀美ママがなれた手つきで

マドラーをカラン二度三度回す、

氷がグラスにとともに心地よい音を奏でる。

焼酎全盛期の今でも彼はウィスキーにこだわってくれるのが

うれしく思える。しかし・・・!!

  「だったら、ミソカツは食わないのかぁ〜」と、ガブリン

「違うって、味噌汁は白がすきなだけです〜」

まるで子供のけんかである。

マスターは山口県下関の出身で、

岐阜の赤味噌文化には戸惑いを覚えたときもあるが、それも、三十数年以上前だ。

そのころの岐阜、愛知の方々は日本全国、

赤味噌だと思ってなかろうか?若いころの思いであって。

赤ミソを否定しているわけではないので、

岐阜の方々怒らないでもらいたい。

最近聞いた噂だが愛知のどこかでは

イカやウリに赤味噌をつけて食するらしい。

知っている方 ぜひ教えて頂きたいものです。

  「だったら、味噌煮込みうどん喰うなよ〜。」

「だからぁー、味噌煮込みすきですう。

ただ、店によって麺の固さが違いすぎると思いませんか?」

「マスター解ってないなー、固いのがいいんだよ〜」

「スジのドテ煮もいいね。」

「ネギたっぷり乗せて、練りからし添えて、って

マスター赤味噌好きなんだろー。」

「だからー 嫌いじゃないって!言ってるでしょう。」

由紀美ママが間に入り 

ガブリン、水割りおかわりしましょうか?」

「あぁ〜、マスターも飲めよ〜」

今日のガブリンは絶好調である。

マスターたじたじのまま、柳ヶ瀬に朝日が差すのだろう。

  
  最後まで読んでくれて、ありがとうございます。

 現在、作品八つ預かっていますので、また載せますネッ!